凝りもせずにリネンシャツ。

7釦、ポケット付、ごくオーソドックスな仕様。名はEssential shirt。

黄色。東洋では高貴な色とされ運気の上昇によく取り上げられる色だが、西洋ではユダの服、ナチスドイツが付けたユダヤ人の紋章の色など、裏切り者、卑劣などの意味で用いられてきた歴史がある。ドイツの国旗とかにあるじゃん、とおっしゃる人もいるがあれは金であって黄色ではない。日本では黄色と言うと個人的には風水のトップの色、という認識。それは古代中国で五行の中心色として、皇帝のみが着られる色だった事に由来するようだ。金運がどうの家庭運がどうのとかしか聞かない。

やや小ぶりな襟で、うんともすんとも

黄色。可視光線の波長約380~780nmのちょうど中間である580nm、つまり最も視認性が高い色。自然界では毒を持っている動物が自らの体表色として採用することもあれば、向日葵のように見事な美しさを支える色として選択されることもある。間違いなく目立つ色ではある。向日葵自体、陰のイメージはない。よって着る人間も認知的協和理論からアッパーな人間であると見なされるだろう。

黒人の方が絶対に似合うよなぁとか思ってしまう事もある

黄色。私は昔から黄色が好きだ。ただ身に着けることはあまりない。他人がその恰好をしているのを見るのが好きなだけで、自分で進んで纏おうとはしなかった。

とあるバンドのドラマーが派手な黄色のダウンジャケットを着ており、「黄色とか派手な色なんて着ないんだよね、でも、なんかよくわかんないけどショップのラックにかかってたこれ(ダウン)を見て、すぐに買っちまったんだ」とインタビューで述べていた事を覚えている。服は、「この色は好きではない」といくら思っていても、乗る布で質感が変わると印象が全く違ったものになる。

このシャツもそうで、風化したようなとても品のいい表情の黄色に見えて、何なら金色に見えなくもない。一目見て「これは買うでしょ」と確信し、サフラン色のドアを開けたよ。時間旅行のツアーはいかが。

前立ては24mmと狭い。これはフランスのモダンでクリーンなブランドっぽい印象
ボタンは11m、高瀬っぽい表情。クラフトマンシップに恥じぬ根巻

デボンファクチュールのデザイナーは83年生まれの女性、デボラ。エルメスのシルクアクセサリーのマネジャーだったらしい。エルメスがクラフトマンシップを重要視するように、このデボンファクチュールもクラフトマンシップが軸となっている。シンプルなデザイン、良質な素材、職人の技術。わかりやすい。

昔APCが上陸してしばらくの間、見た目のクリーンさとモダンさの一方、その質の悪さがずっと2chで叩かれていた。オイル染みが出て来たとか、裾のまつりが最初からほどけているとか、洗濯したら移染で共洗いした服が青ざめたとか。さすがに今はそんなこと無いのだろうけど。デボンファクチュールはそういった噂もない。まあ真っ当。真っ当に”上品な雰囲気”を地で行っている。言語化できないおフランスの鼻持ちならぬ部分。イタリアのブランドでは出来ない行き過ぎていない感じ。

袖は普通。最近袖の縫い目の写真求められているような気がして撮ってるけど、個人的にはもうどうでもいいんだよね。別に言うほど前振り警察じゃないし。
前振りよりも副資材の方が重要で、ボタンは言うまでもなく、芯材は着心地と線の美しさに直接影響する。ただ、芯は写真だけだと全然わからないんだけど…

やわやわカーディガンのようなデニスとも違い、カリカリ鉄網メッシュのkavalとも違い、THEリネンシャツのnest Robeとも違う、中厚のリネン。ある程度しっかりした生地に、美しいサフラン色が乗る、割と存在感あるシャツではある。

加齢が進行しているのか、このシャツも買った当初は「着ないよな…」だったのが徐々に着る頻度が増えてきている。まあでも上記の写真の通り、野外の日光下だと光線の中でやや黄色みが紛れるので、割と目立たないのでは?と思って自身を納得させている。

派手な服を着た時、その服についてなにかしら言及されなければずっと着続けられる気がする。そう考えると、人の着てるものに対して、悪口じゃなくても何か言うのはやめた方が良いよね。はい。いつもすいません。