今年の初旬だが、ジェイエムウエストンの靴を買った。
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黒の「ゴルフ」。
オフの日に履ける革靴が欲しいなと思った。
それも永く履ける靴。
最初はパラブーツを考えた。
シャンボードは友人が履いていたなぁ、
でもウエストンは高いし、自分にはまだ早いか?と考えた。
そこでパラブーツ、ウエストンを店頭で試着した。
パラブーツは評判通りの出来で、ウィリアムまで欲しくなってしまった。
ウエストンは店頭で見て、試着して、ふーんこんな感じかぁ。
無骨な顔のわりに革質が良くいな、くらいにしか感じなかった。
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ところが数日。
なぜだか記憶から離れない。
エドワードグリーンもジョンロブもコルテもガジアーノもこんなことにはならなかった。
ウエストンだけが頭から離れない。
見た目もさることながら、「履いた感じ」が頭から離れない。
あのフィッティング後の、足がカタマリとして一体化した、
不思議な感じはなんだったのだろう?
頑強な鎧にプロテクトされているような感じでいながら、
いくら振り回しても乱れずぴったりとついてくる。
そして重いはずなのに重く感じない。
なぜだ。
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上から見下ろせば上質な(すぎるくらいキメが細かい)革と、
真面目なフォルムでノーブルな雰囲気だが、
横から見れば打って変わってがしりとした重厚な雰囲気。
なぜだ。
不思議だった。
パラブーツはかっこいい、と思ったのだが、ウエストンは「なぜだ」という謎だけが残った。
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気づけば家にあった。
不思議と高い買い物をしたという高揚感は無く、
「ああ、買ったな」という気持ちだけだった。
なかなか履けなかったのだが、休日に一度履いてからというもの、
今では仕事でも普通に履いて行っている。
むしろ、走り回ったりとタフで忙しい日を選んで履いて行く。
走ったりする時に非常に役に立つのだ。
正直、今持っているどの革靴よりも走りやすい。
「浮いている感覚」すらある。
ソールが厚いというのもあるのだが、ソール自体がしっかり地面を踏みしめる上、
靴自体が頑強で中々かえりがつかない。
多分、まだなじんでおらず、「浮いている」感覚はむしろ悪い意味なのではと思うが、
それでも走りやすく、動きやすいのは事実。
なぜだ。
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ちなみに半年1週間に2度のペースで履いて、ソールの減りはこれだけ。
10年もソールを代えていないとかいうケースも聞いたことがあるが、
そこまででは無いにしろ、丈夫である。
また、ケアはブラッシングだけで一度もクリームを塗っていない。
今後もクリーム等は当分塗るつもりはない。
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恐らく、長い靴選びを経て辿り着けばこの「なぜだ」の正体が言語化できるのだろう。
しかし、これは素人が履いてもわかる。
これは間違いなく一級品だ。
その昔、この道40年の酒の玄人は言った。
「酒を語るのに言葉は無粋。うまい酒は減る。まずい酒は残る。それが真実だ」
良い靴は履かれ、悪い靴は履かれない。
悪いものは淘汰され、良いものは語り継がれていく。
道具は単純だ。