ラング。
「ヘルムート ラング」メンズラインが復活 G6と青山にオープン
学生時代、リッチーホーティンなどミニマルテクノからドローンに傾倒していた私は、同じミニマリズムを目指した服がある、ということを知り、ヘルムートラングにのめりこんだ。ミニマリズムの一端とされていたが、当然あのデザインはかえって目立ち、何の変哲もない”ふつうのもの”では無いな、と離れていったが、ミニマルな服装に入るきっかけになった。
当時最もハマったスタイルは、いわゆる作り手のルックだった。それというのも、音楽をやっていたのでステージで楽器を演奏するスタイルはなにが最適なのか、と考えた結果、余計な機能や装飾を廃したミニマルなスタイルが良いと思っていたからだ。
マイケルタピアの黒Tを3枚購入し、SOMETの濃紺ストレートデニムとユニクロのスキニーを履き回す。あらゆる天候と四季に対応できるし、洗えるし、演奏の邪魔にならないし、代替可能、快適。肌寒いときはユニクロ✕プロコフのナイロンブルゾンで冬はIGBeamsのブルゾンだった。
デニムはポケットが使いやすく膝周りがシュッとしていて色落ちも綺麗な細かく直す必要がないものを追求した結果SOMETになったため、10年以上前の青山にまだ店があった当時、販売員のソメ子から購入。ボタンフライが嫌だったのでサンプルのジップフライのものも買った。
タピアのTシャツはとにかく気持ちよかった上にカッティングが綺麗で、生地も厚く、これ以外は無いなと選んだ。オリーブ色のものやシーサーのヘンリーも買ったが、結局これが最もシンプルだった。
学生の頃から世話になっていた先生はいつも同じシャツとスーツを着ており、それを生徒から指摘された際、「本当のオシャレな奴はな、同じ服を何着も持ってるんだよ。」と返していた。みなゲラゲラと笑っていたが、「ひょっとしてそれは一つの正解なのではないか?」と青年期の私は真面目に受け止めていた。
それに影響を受けたのかわからないが、いつしか私は「あの人、いつも同じ服着てるんだよね」ということを言われたいと思うようになっていた。ところが、いざ決まった服で通していると、大学の連中からは「なに?どこのデザイナーなの?なにを生み出してるの?」、久しぶりにあった地元の同級生からは「お前、その服装あきらめすぎだろ…さすがにそれはどうかと思うぞ」と言われる始末で、なぜシンプルにするとかえって突っ込まれるのだろう、と思い悩み、やめてしまった。
最近、町中ではノームコアのトレンドの影響なのか、白ポケTや黒Tに、マットな質感のテーパードパンツ、スニーカーの男性をよく見かける。使っても2色、時計も鞄も小さく無地だったりする。
今回、ラングメンズのデザイナーはプロコフらしい。ユニクロとDIを一度手がけているあのロシア人だ。当時ミニマルな格好をしていた私が着ていた、プロコフのブルゾンはまだ家にある。良いブルゾンだ。
果たしてプロコフのラングメンズ、ノームコアな人々に響くのだろうか。ラングとユニクロで何かやればいいのに、と思わないでもないのだが。
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