欲しい鞄が見つからない。

「自分が欲しいと思えるものが無かったので作った」という理由でブランドを立ち上げたデザイナーって結構いると思う。

世界観を表現したい、というのではなく、まっすぐプロダクト志向で、「これこれこういうデザインでこういう機構のこのアイテム」というものが明確にあり、それを作った人。

オーダーで作ろうにも限界があるので、賛同者が多いと感じた時に「よっしゃブランド立ち上げるか」と思うのだろうか。

それを作った後に拡大していこうとするのが、なんとなくダサく感じてしまう。

トータルブランドとかいう謎の言葉で日本人を煙に巻こうと試みるプッシャーをよく見かけるが、トータルにライフスタイルを提案しないでいただきたい。

 

そういうわけで、2年経った今でもまだ鞄を探し続けている私は、もしも鞄屋をやるのだったら、2型だけ作っておしまいにするだろうと思う。

 

1つめはブリーフケースだ。

極力縫い目はなく、革成形のみで形を仕立てて形どっており、マチは5cmほどの薄いもの。

取手と本体は金属で吊るりさげており、その金属は丸みもなくシャープな印象でもない中庸なものであり、なおかつマットなつや消しされた銀色のもので、主張が抑えられたものである必要がある。

革は細かめのシボ革、黒。

取手はコバが見えないように巻き込まれて縫い込まれているか、あるいは元からそのように成形されているもの。

またはつや消しの型押しがされたもので、硬質な印象を与える表情を持ち、しかしシャープすぎる印象ではないくらいのもの。

革で無ければ、イギリスのスーツ生地のような、光沢が全くないミッドナイトネイビーに近いマットなナイロン。

 

2つめは2wayのトートバッグ。

同様に縫い目は無く、薄めの革で裏地はナイロンあるいは薄いコットンで軽く、内側にショルダーストラップの接続部を内蔵し、ショルダーストラップの機構はワンショルダーとメッセンジャータイプのショルダーのいずれかの長さにワンタッチで変更可能なもので、取手は本体の表地と裏地の間に入り込んで縫い込まれている。

革はカカオ90%レベル位のチョコレート色のブラウンで、ベジタブルタンニンなめしの柔らかいもの、あるいはアンティーク調の、アニアリのアイディアルレザーから光沢を抜いたような、茹で上げたバーブアーのオイルドジャケットのカッスカスになった印象のレザーといったところ。

革を探すだけでも大変な気がする。

 

 

 

先日、鞄を作りますよ、と言ってくれた工場があったのだが、どうしても手製感というか、ハンドクラフト感が出てしまうような普通の手縫いであった。

自分で名刺入れやiphoneケースを革で縫っていたこともあるので、手縫いでの仕上がりのあのにじみ出るクラフト感が想像付く。

目指しているのはそういうものではないのだ。

スマイソンみたいな佇まいでありながらtomoeのようなインダストリアル感があり、極力縫い目やコバの処理が真面目でシンプルなもの。

また歳を重ねていくことになりそうだ。