バッグブランド、STYLE CRAFT。

ソニアのショッピングマニュアルにも取り上げられている、シンプルでフォルムが美しい国産のバッグブランド。

その衣類のラインがスタイルクラフトワードローブである。テイストはフランクリーダーやアーツ&サイエンスと似ているが、ネパールで手作業で作られる服で、土臭い雰囲気が強い。どこか知的な印象があるのはそのプレゼンテーションのせいだろうか。

 

シャツというかステンカラーコートというかアトリエコートのような佇まい。洗ったりするけれども、基本的にはしわくちゃにしている。

 

リネンで裏地無し。夏でも着られるロング丈である。

ネパール生産ということで、マザーハウスと同じような途上国にフォーカスしたソーシャルアントレプレナー的ブランドなのかと思っていたが、特に表立ってそのような事は発信していない。ネストローブの人も特に触れなかったので、慈善事業的な意味合いを帯びてしまうことを出来るだけ避けたいのだろうか。

私は「ネパール生産」や「被災地支援」などの物語的な解釈を求めるものについて、立場を保留し続けている。9年前にはじめてマザーハウスを知った時からずっと、そういう物語への解釈を保留し続けている。駅前でゼッケンをつけた人たちが大きなレトリバーを座らせて声高に何か叫んでいるのを見るたび、一列に並び朝から晩まで遠くの国の子供たちの窮状を声を枯らしながら叫び続け7日目にはいなくなる人々を見るたび、脳の中の風景が少し歪みそうになる。

 

ところで、ギンガムチェックはモテる、と聞いたことがある。確かに合コンによく言っていた会社の同僚はギンガムチェックのボタンダウンを好んで着ていた。青×白のギンガムは確かにかわいいという意見を聞く気がする。

果たして黒×白のギンガムチェックはどうなのだろう。少し大人っぽい印象になるので30代以降にはいい塩梅なのではないだろうか。

 

ざばっと洗ってばさっと干してぐしゃりと鞄に突っ込む。シワはそのまま。無地だとシワが目立つのだけれど、こういう柄物リネンのシワはそのテクスチュアに好感が持てるため、アイロンはかけない。

縫いはロックミシンだし台襟はない。バランスも適当で身頃のセンターがズレている。袖も中途半端に短いし、フロントのポケットが不格好に主張する。ボタンはなんか水牛っぽい良さげなものであるが知らない。

こういうブサカワというか、適当な感じは難しいと思っている。素材・柄選びやディティールなどの複合的な要素に依るため、間違えるとあざとさが出る。YAECAとかEELとかまたは平和なアメカジ寄りのブランドあたりの”普通の服”がハズレがないと言われるのだろうが、ちょっと服でこじらせるとこの辺やアーツ&サイエンスらへんのマージナルな方向に迷い込む。やれ生地からの生産だ、ハンドエンブロイダリーだ、アンティークボタンだとか。全く何をやっているのだろうと思い悩み続けて神妙な暗いツラで悩ましく着こんで自然光を浴びながら気持ちいい秋の午後をうつむき加減にぼんやり暮らす。

始まりも終わりも正否もない、というのは本当に複雑だが、それこそがほとんどの事実を占める。