またイタリア。
でも今回はボローニャのシャツ。
フィレンツェの北、ミラノの東。
だから北イタリア寄りだ。
マシンメイドのシャツの最高峰と謳われるシャツ。イタリアのシャツの最高峰の一つかもしれない。
イタリア最高峰っていったらシニスカルキとかFINOLLOとかが浮かぶのだが、
それは一部のマニアのオーダーメイドの世界で、
既成服で言えばFRAYは間違いなく入ってくる。
ボレッリ、フライ、バルバというトリオは今でもMen’s EXに出てくるのだろうか。
最近はフィナモレとかが載っているのかな。
正直、FRAYについてはよく知らない。
落合正勝の著書にルチア・パシン・ランディって書いてあって「これ誰?」
と首をかしげた位。
FRAYの創業者の女性の名前である。
ナポリのシャツと違い、北の方なので、
どちらかというとビシッとして、シンプルで真面目な印象。
起源がスイスにあるのも影響しているのだろうか。
ただ、シャツ生地の頂点、生地の宝石カルロリーバ社の生地とかを
フツーに使ってくるので値段は高い。
落合氏によればハンドで袖付してミシンかけという2重工程を経て、
袖付部分の薄さを実現しているらしい。
マシンなので、基本的に丈夫。洗濯機でガンガンいける。
でも高い。
最初の1着目を買うときに、自分の今後の人生を心配した。
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FRAYのシルエットはシェイプもそれほど効いておらず、
良い意味でマジメ。
もっとも、FRAY自体結構セレクトショップの別注に素直に従う性格なので、
セレクトショップの方向性で変わってくる。
それに最近の細身傾向。
今はもっと細いかもしれない。
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FRAYが素晴らしいと思う一つの要素は、襟型。
タイを締めた時の美しさは比肩するものが無いと聞いたことがあるが、
同意する。
ターンブル・アッサーのターンブルカットもそうだが、
ジャケットの下に襟先が入り込むカラーはVゾーンで見た時に美しい。
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この曲線。
ピッチも非常に細かい。
ただ、縁はそんなに攻めていない。
「縁に行けばいくほどセレモニーっぽくなる」ので、
ストライプのこのシャツに与えられた役割からしてこの位置がベストと判断したのだろう。
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曲線を描く襟型は数多くあるが、
バランスが良いと本当にエレガントに仕上がる。
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適度な厚みあるボタン。
鳥足留めではないが、FRAYにハンド技巧は別に求めない。
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ツインバレル。
角切じゃないとツインボタンでいいのだろうか。わからぬ。
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これが例の袖付である。
いや、ぶっちゃけると、
手縫いの後にミシンで仕上げたかどうか、わからない。
前振りにはなっているが。
手縫い+ミシンってパッと見でわかるものなんだろうか。
ただ、やはり生地はしなやかで、テクスチャーが細かい。
素肌に着るのはさすがに抵抗があるが。
触っていて気持ちいい、とかずっと触れていたい、というモノは、
それに込められた情報などの価値とは別に、
「モノ本来の魅力」がとても強いものになると思っている。