マスターシードノンアイロンなどを以前書いた国内の優れたドレスシャツ工場ドゥワンソーイングのPB、土井縫工所。の、パターンオーダーの加工デニムシャツ

ダーツモデル、ウインザーカラー。着丈はカジュアル仕様。

初期に書いたころからだいぶ値段が上がった。当たり前で、あの時の値段だったら鎌倉シャツのワンランク上のあたりの総取りも目じゃない位には良いシャツ。それが土井縫工所の実力。銀座の例のアルチザンセレショPBとか、大人向けアメカジのPBとか、質にしては廉価で評判がいいオーダースーツチェーンとか、各方面のOEMを受注している。

値上がりしても、これだけはオーダーしたかった。それが洗い加工のデニムシャツ。

サイズオーダーで洗い加工をしている所って少なくて、オーダー後に工場持ち込む位しか無いんだけど、さすがに面倒だし縮率考慮はこちらの責になるため試行錯誤にかけるお金もかさむ。土井縫工所のこのプランはなかなか良い提案だなと思った。

洗い加工はバイオウォッシュとバイオブリーチの二つ。端的に言えば、バイオウォッシュが酵素で洗う、濃いめのインディゴ。バイオブリーチは塩素漂白を使う、ライトブルーの仕上がり。加工は4000円程かかる。

こちらはバイオブリーチ加工。

パッカリングもいい味。

ウォッシュ加工のデニムシャツは割と気に入っている。なぜなら、デニム由来の立体的な生地のテクスチャが好きなのと、こなれた風合いが肌に気持ち良いから。ノンウォッシュだと硬いし、縮むのもドレス系のシャツとしては致命的。

縫製ピッチが箇所で違う事に注目してほしい。深めのカマやガゼット、根巻釦や円錐カフも健在。

ユーロ系のウォッシュドのデニムシャツは以前のDANOLISしかり、割と薄手のぺらっとしたものが多い印象なのだが、そこは良くも悪くも実直な土井縫工所。バイオブリーチの方でも生地のしっかりした感じが損なわれておらず、縫製も抜かりが無い。箇所によって縫製ピッチを変えてくるという実直さ。洗いのかかったデニムシャツなのに何か「リラックスしているはずなのに隙が無い達人」の感じがある。芯地も印象よりもしっかりしており、個人的にはそれがむしろ良かった。着倒せる安心感はデニムには是非持っていて欲しい。

ブリティッシュなウィンザーワイドカラー。この襟型が気に入っている。

デニムシャツ、シャンブレーシャツと言えばアメカジなのだと思う。だからSEROのようにボタンダウンにしたり、BOLZONELLAみたいにプラケット有にするのが普通なのだけれど、今回目指したのはユーロ系の雰囲気。ORIAN DENIM DIVISIONみたいなの。でもイタシャツは結構カッタウェイとかが多くてトバしてる感じがあるし、チャラついてる雰囲気がどうにも…という事で、折衷案で英国っぽい襟を持ってきて日本のシャツ屋の実直な仕事、という訳である。

日陰で見るとそんなに薄くない色合い。

割と濃い色なので、ジャケパンでサックスブルーのシャツの代わりとしては使えない。なので濃い色×濃い色の組み合わせになる。妻から「濃い色のシャツは遊び人」と言われてしまったので、なんか気にしてしまって登板回数が激減していた。しかし、最近は「濃い色のシャツを着ている日はヤバい奴だと思われてちょっとした仕事の依頼が減る」という規則性を見出したので、逆に攻撃的に生きたい時に武器として使う利点を見出した。

以前勤めていた会社では、泡を吹きながら罵倒するタイプの社長がいつも着ていたのは濃いエンジ色のシャツだった。今の会社でも罵倒と器物損壊で有名な人間は濃いグレーのシャツを着ている。濃色のシャツ、社会的な威嚇にイケる。そういうわけで濃色のシャツで武装連勤。妻からは「カタギに見えない」と言われる始末。それは龍が如くのやり過ぎだろ。

まあでもネイビースーツで白シャツなのに、輩は輩で何人も付き合ってる人もいるので、気を付けてください。私みたいなクソは地獄に落とされるかもしれません。ただ命は粗末にすな。