最近のイタリアのシャツの近況について


ふと過去の自分の記事を読んでいて、「うーん、この子今ではとても良い働きをしているなあ」と思ったりするので、過去の記事をさらと読みながら近況に言及してみようと思う。

特にオチはない。

イタリアのシャツシリーズ。

ルイジボレッリのシャツ

今をもってやっぱり、既成品でもっともしっくり来るシャツ。
ボローニャのルチアのシャツを今の値段で買うなら、同じ価格帯のボレッリを買ったほうが絶対に良いと断言する。
それくらい着心地が良く、素材も良い、よく出来たシャツ。
無駄にハンドにするのではなく、ポイントを得て使い分けている。
衿型はバレリオ、ルチアーノ共に美しい。
まさに名品、何も言うことがないが、あげてしまったり売ってしまったりで、もう手元には2着しか残っていない。

 

ブリーニのシャツ

今はもうなくなったベルガモの伝説。ブリオーニを買いましょう。
マジメな仕事としてはFRAYととても似てるので、FRAYでもいいと思うのだが、ずっと着ているとここのボタンとボタンホールの気持ちよさはなんなのだろうと思う。

ETONでも実感したが、シャツを着る際、ボタンを締めるという行為が快楽的かどうかというのは非常に重要な要素である。

機械縫いの精緻なホールに、平たいボタンをなんのストレスも無く、「スッと」通す。あるいはきちっと仕上がったボタンホールに、おおぶりなボタンを雪を踏みしめるように、「ギュッ」と通す。これらはどちらも悪くない感覚であったが、良くもない。

だが、buriniのやETONのボタンを通す時の「プリッ」とした感覚はたまらない。特にburiniの場合はポプリンがコリコリとしているため、とても気持ちが良い。これだけはボレッリに搭載されていない快楽だな、と思っている。

 

サルバトーレ・ピッコロのシャツ

今アローズやらトゥモローランドで買えるもっともよいシャツ。一発で見分ける方法は、トレードマークの肘のダーツ。
トータルブランド化している最近、とても心配なのだが、デザイナーの感性が今っぽく、雰囲気作りが上手なブランドだと思うので、まだいけるだろう。

最近は丸襟やらタブカラーが流行っていて、タブカラーも持っているのだが、やはりこのターンブルカラーに似た定番ブロードシャツが未だに名作だと思っている。絶対に意識してるよな、ターンブルアッサー。ターンブルアッサー自体は後日話すけどもあまり良いシャツではないと思っているので、こういうアプローチは良いと思う。

最近では、タイドアップするとやたらイタリアイタリアしてしまうシャツより、こういう一見各国の感じが隠匿されたバランスのシャツが良いと考えている。

ところでこの記事には、「フランクアンドアイリーンのシャツなんて絶対買わないぜ・・・!」と書いてあるが、結局前フリみたいになってしまった

 

バルバのシャツ

黒タグと白タグがあるが、黒タグは細い人の救世主と未だに考えている。

自分が未だに痩せたままというのもあるが、もうフィットするフィットする。
Iボディというカットなのだが、とにかく細くて腕も細い上にフィナモレみたいに袖ぐりが結構深い。しかもなんか最近安くなったりしてるのを見かけるので、どうしたことか。
モデリストが関わっていると結構ボディコンシャスなパターンができるような気がするのは、気のせいなんだろうか。

 

フライのシャツ

フライでしょうね。

まあネクタイ映えるし着るよね。
最高の生地と衿型だというのはよくわかる。でも高い、高すぎる。
生地がどうとかはもう良いとして、最近思うのだけれどFRAYがブレイクしたのって実は、「ショップの別注に素直に従うローカライズ戦略」が鍵だったのではという邪推をしている。

どこかのリボンついてるブランドみたいに。

アンナ・マトッツォのシャツ

最後を飾るのはこいつ。いや、おさらばしてしまったんだけど。

昨年オープンした丸の内のイセタンサローネっていう伊勢丹の路面店。
当日行ったら、ガラスのショーケースの中にぶわっとしたあのシャツが。
お値段8万円、うおおおおおおおおお。
アンナの既成品が帰ってきてた。店員に聞けば「フルハンドですよこれ」。
うおおおお。記事もあった。

http://www.imn.jp/post/108057194936

日本でフルハンドのナポリシャツの既成品はそうは見ないので(以前イングレーゼの7万くらいのを見て以来)、これには唸った。

 

シャツは、工業製品から遠い所にあるときに異彩を放つ力がある。
これは手仕事で仕上げられたシャツはもちろん、経過でも起こりうる。着古したビスポークシャツを見た時にマーガレットハウエルが感じた魅力というのはそれなのかもしれない。

個人的には、シャツは衣類の中で最も縫製線が目立つものだと思っている。ので、工業的なものが備わるべき縫製線のエントロピーが手仕事や経年によって高まる時に、何かダイナミズムとでも言えばいいのか、ある種グロテスクな美しさが宿るのかもしれないと思っている。

そう思いながら、マトッツォのシャツを商社の筋骨隆々の全然ブランドに興味が無い人間に差し上げて、彼が今どうしているかはわからないが、知っている人が着るよりよほど良い使い方だと今では考えている。

特にオチはない。


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7 コメント

  1. コスミ様
    まさかあの職人さんも現地でベースにされているとは思わないでしょうね。笑
    赤堤のゴルフォディナポリさんでしょうか?以前伺った時、店主の方向性としてもタイトなものはあまり扱わない向きのようでしたのでオーダーもちょっと違うかなと思い控えました。今は旬なのでそのうちセレクトショップ規格で来日とかがあるでしょうね。

  2. コスミキヨト

    ビスポーク扱いですから、基本的には送ったサンプルをベースに作ってくれますよ。私のアンナマトッツォは山◯シャツベースです。(言ったら怒られるな…。笑)
    アヴィーノでしたら世田谷にビスポークでオーダー受け付けてるお店ありましたよね?45,000が底値で生地はDJAの180だったかと。こっちも悪くないですね。

  3. それでリーバを選択できるのは確かに格安ですね。ありがとうございます、選択肢に入れてみます。
    個人的には筋肉量の問題で、同じイタリアのアンフランセスコ・アヴィーノ氏かなぁと思っていたのですが、カルロリーバがその値段はお得ですね。

  4. コスミキヨト

    確かビスポークは仕立てのクオリティで2種類あってハンド6工程の方だとフルオーダーでも五万以下だったと思います。
    カルロリーバを選ぶと日本でオーダーしても簡単に五万くらいはかかりますし、高級生地で作りたいなら極めてリーズナブルな選択だと思います。
    英語でコンタクト可能ですよ。私はいつもメールでお願いしています。

  5. コスミ様
    おや、そうなんですね!以前、だいぶ円高だった時に来日した時、スーパーリーバでやってもらうものさえ非常に高価だって聞いていたので、意外です。
    イタリア語でオーダーするのでしょうか。
    コスミ様はお作りになられましたか?

  6. コスミキヨト

    アンナマトッツォは実はネット経由での注文も可能です。サンプルのシャツ送れって言われますけど。笑

  7. コスミキヨト

    はじめまして。アンナマトッツォのフルバンドは本国に直接頼めばスーパーリーバの生地かつフルオーダーで五万ちょいで作れますよ。

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